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加藤健一事務所 第87回公演 「Be My Baby いとしのベイビー」

「Be My Baby いとしのベイビー」 Be My Baby
(2013年11月27日~12月8日 下北沢本多劇場)



1963年のイギリス。スコットランド貴族のクリスティ(加藤義宗)と恋をした
グロリア(高畑こと美)は、19歳の若さでクリスティと結婚することに。
唯一の肉親である叔母のモード(阿知波悟美)は心配をして反対するが、
恋が盛り上がっているグロリアは話を聞く耳を持とうともしない。
クリスティの親代わりでもあるジョン(加藤健一)はモードと犬猿の仲で、
結婚式のために一緒に過ごす時間が増えるのだが、喧嘩が絶えない毎日だった。
結婚後しばらくして、グロリアは妊娠するのだが、流産してしまい、
子供を望めない体になってしまう。そのときを同じくして、
親戚の女性が離婚をすることになり、生まれた子供を養子に出すと聞き、
神の啓示とばかりに、グロリアはその子供を養子に迎えることを決意する。
絶対安静のグロリアをサンフランシスコにはいかせられないと思ったクリスティは、
ジョンとモードに赤ちゃんを引き取りに行ってくれるように頼むのだが…。

今年最後の加藤さんの舞台。いいお芝居でした。
何より、ハッピーな気持ちで劇場を出られるのがうれしかった。
去年に引き続き今年も、家族に不幸が続いたり、
いろいろと個人的にしんどい1年でもあったので、
こういう明るい楽しい気持ちで一日を終えられるのは、本当にいいこと。

ラドウィグの脚本の舞台は、加藤さんのお芝居の中でもいくつか見ていて、
レンド・ミー・ア・テナー」や「特急二十世紀」も楽しかったですが、
中でも「バッファローの月」がお気に入りです。今回の作品も、
嫌な気持ちにならず、楽しく笑えてちょっとぐっと来るところもあって、
ああ、ラドウィグはいいなぁと改めて思いました。

人生って本当に何が起きるかわからないもので、いいことも、悪いことも、
予測できるときもあるけど、多くは思いがけないタイミングで起きるので、
なかなか心の準備ができないものだ。でも、だからこそ愛しい。
そんなふうに思える作品のひとつだったように思います。
ジョーとモードの珍道中は、神様からの素敵な贈り物だったのではないでしょうか。

私も40歳に近づこうとしている独身のひとりとして、そう思うのですが、
普段はそんなに自分が独身であることをどうと思うことはありません。
「誰かいたら」と思うことはもちろんそれなりにありますが、
仕事が忙しかったり、学校が忙しかったりすると、それどころではなくて、
口では「彼氏がほしい」だの「結婚したい」だのいってはいますが、
そこまで実のところ、激しい焦燥感に駆られたり、寂寥を感じたりということは、
あまりないんですよね。毎日は忙しいし、それでいっぱいいっぱいというか。

でもたぶん、これから先、「この人と残りの人生を過ごしたい」と思う人に出会ったとき、
きっと自分が孤独だったのだということに気づくのだろうと思うのです。
相手が欠けているのが普通の状態では、そんなことに気づきもしませんが、
自分が半分で、相手といることで一になったときに初めて、
その相手がいなかったときの自分の孤独を実感するのではないでしょうか。

モードもジョーも、年齢は明かされていませんが、まあ結構ないい年で、
大人として、しっかりと地に足がついて生活している人たちだ。
お互いに頑固だし、自分のやり方もあるし、時に寂しく思うことはあっても、
二人にはクリスティやグロリアがいて、本当に一人というわけではないので、
その孤独感もやや薄まっていたのではないだろうか。だがこの旅で、
ミランダと出会い、最悪の第一印象を抱いていたお互いを再発見する機会に恵まれ、
「人といる心地よさ」を彼らは感じたのでしょうね。

一人って確かにつまらないこともあるけど、慣れてる人にとっては快適で、
そこに安らぎを感じることもよくあります。そんな人にとっては、
人といるということが少し窮屈で、心配だったりもするのですが、
人の立てる物音や声の起こす細波の心地よさを忘れていたりもする。
そう感じられる相手に出会えたということが、彼らにとって幸せだったのだと思います。
そしてそれを取り持ったのは、世界で一番イノセントな存在である赤ちゃん。
素敵なお話でした。

加藤さんと阿知波さんの頑固な二人のやり取りはほほえましくもあり、
不器用な二人が見ていてかわいらしかったです。
前作に続いての登場の義宗くんは、今回のクリスティの役のほうが、
彼の雰囲気には似合っていたかなと思います。もしまた、
コミック・ポテンシャル」をやることがあったら、忍ちゃんの相手役、
アダムの役とかが似合うような気がしますね。そして高畑さん。
初めてだったのですが、よかったなと思います。そして、たくさんの役をこなされた
忍ちゃんと粟野さん。この二人が光っていたなと感じる舞台でした。

次回作は久しぶりに和もののようです(あとにさきだつ うたかたの)。
また来年も、素敵な舞台を期待しています。

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