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加藤健一事務所 第88回公演 「あとにさきだつ うたかたの」

「あとにさきだつ うたかたの」
(2014年3月12日~3月25日 下北沢本多劇場)

歴史博物館を毎日訪れる老人、藤崎静雄(加藤健一)。彼は毎日やってきて、
一日5回あるフィルムを毎回見て、帰ってゆく。彼が一体どういう人なのか、
受付の吉澤恵子(春芳)と園田香織(三戸亜耶)は、
想像を働かせるのだが、どういう人物なのかがさっぱりわからない。
静雄はフィルムを見ながら、その昔、故郷の静岡の海岸で、
父、隆(山崎清介)とふみ(加藤忍)と一緒に、
海がめの卵を見つけたときのことを思い出す。卵がかえる頃、
親子三人でまた海岸に戻ってきて、海がめの赤ちゃんが海に戻っていく様子を、
一緒に見ようと約束するのだが…。

今年1回目の加藤さんの公演。
いろいろと考えさせられる、さまざまなテーマが折り重なって、
レイヤーを作っている舞台でした。
とても静かで、でもやさしくて、そして切ない、胸がぎゅっとなる舞台。

この脚本を書いた山谷典子さんと私は同世代で、彼女ほどではないと思いますが、
私も祖母から祖父が戦争に行ったときの話を何度か聞いたことがあります。
でも私にとっては遠い世界で、曇りガラスの向こうからのぞいている、
そんな印象でした。でもこうして目の前に見える形で物語が展開すると、
またそれはそれで、違った感慨があります。

「難しいなあ。答えが決まってればいいのに」
静雄は言う。

誰が悪いわけではなくて、誰が正しいわけでもなくて、
ただ目の前のことに必死で、前に進んでいくしかなかった時代。
やるせないことも多くて、納得のいかないことばかり。
それでもただ、それを飲み込んで、進んでいくしかなかった時代。
私の年齢ですら、これがぎりぎり想像でわかるというところです。
私よりも若い世代の子たちにとっては、「なんで」という話でしょう。
いやならやらなければいい、よければ進めばいい、
今では当たり前のことが当たり前ではなかった頃の人たちが、
どうやって毎日を紡いできたのか。

ここ1年ちょっとの間に、祖父と祖母を立て続けに亡くして、
いろいろと考えることがありました。祖父はずっと病気だったので、
ある種の覚悟ができていたのですが、祖母は事故としか言いようのない、
本当に突然の死だったので、私たち家族の誰一人として、
その心の準備ができておらず、1年近くたった今でも、
どうしても納得のいかない出来事の一つです。そしてそのことをきっかけに、
何度も彼女の人生を私の視点から振り返ったりしたのですが、
昔の人は本当に驚くほど辛抱強くて、痛みに耐えてきていたと思います。

この作品に出てくる登場人物、ひとりひとりがそれぞれの悲しみを抱えていて、
それでも一所懸命に生きている。人間にできることはそれだけだ。
それしかできない。でも、それがどんなに大切なことか。
だから、ひとりひとりが宝石のように輝く。
ダイヤモンドじゃなくていい。自分だけの輝きを持つ人になりたいですね。

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