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加藤健一事務所 第94回公演 「滝沢家の内乱」

「滝沢家の内乱」
(2015年8月26日~8月30日 下北沢本多劇場)



『南総里見八犬伝』の作者である滝沢馬琴(加藤健一)の息子、宗伯(風間杜夫)のもとへ
お路(加藤忍)が嫁いでくることに。
有名な戯作の作者である馬琴先生のお宅ということで、楽しみにしていたお路だが、
病弱な夫と、意地悪な姑のお百(高畑淳子)に困惑しながらも、
少しずつ滝沢家の嫁として、薬の作り方を覚えたりと、お路はがんばっていた。
だが、年をとり、馬琴の目がかすむようになってきて、小説家として、
一家を支える大黒柱の危機に、お路は立ち上がるのだが…。

2011年に初演をした「滝沢家の内乱」の再演、本多劇場の初日にお邪魔してきました。
知らぬ間に劇場のリフォームがされており、ロビーのソファや、
客席のシートなどが新しくなっていて、びっくりしました。
そして、初日だったこともあり、清水明彦さんや日下由美さんを客席で発見。
あと、たぶん小田島先生(息子さんのほう)と思われる人物も。
ほかにも舞台関係者と思われる方たちを何人か見かけましたが、
何しろ舞台は加藤さん一筋で浮気をしてない(要は加藤さんの事務所の作品以外、
舞台を見に行っていない)ので、同事務所の作品に出ていない俳優さんや、
普段は表に出てこない演出家や脚本家の皆さんのお顔はわからないので、
わかりませんでした!(開き直りか)

ともあれ。この作品を見るのは2度目で、前回のレビューを見直してみたのですが、
改めて読むと、この作品の表の部分しか、前回は見えてなかったんだなと気づき、
正直、結構唖然としました。初演を見に行った時期が、自分のプライベートが
ある程度安定していたときだったというのもあったのかもしれませんが、
今回、この作品を見ていて何か、とてもいろいろと考えさせられるものがありました。

前回、初演を見たときには、心に伝わるほろ苦いものはあるけれど、
コメディ色の強い、明るい作品だと思っていたようです(自分のレビューによれば)。
でも、昨日この作品を見ていて感じたのは、砂糖でコーティングされているけれど、
この作品の芯はやはり人間ドラマで、ある種の悲しみを帯びた作品だということでした。

自分が年を重ねたというのもあるのかもしれません。
自分が今、体調と心調があまり思わしくない状態だったというのもあるかもしれません。
でも、今回この作品を通じて、深く私が感じたのは、
生きてゆくというのは、けして楽なことではなくて、苦しいことなんだけれども、
ひと筋の光を求めて、自分の生きた証を立てるために、
つらくてもみんな頑張って前に進んでゆくのだということ。
それが人というものであり、心なのだということでした。

今の時代とか言い出すと、本当に年を取ったなと思ってしまうのですが、
自己責任なんて言葉が幅を利かせ始めたのは、自分のとった言動の責任を、
きちんと取らない大人が増えたからだと思います。
大人であるということがプラスではなくて、いつまでも子供でいたい、
そして子供でいることを許されてしまう時代にあって、
自分はどういう風に生きていきたいのか。もし子供を持ったなら、
どう育てていくのかとか、そんなことを考えてしまいました。

心に浮かんだのは、この事務所の一番大好きな作品である、
詩人の恋」の核となるコンセプト、「喜びと悲しみ」の組み合わせでした。
前半嫁いできたばかりのお路は、本当に明るくて、特に今回は演出のせいもあるのか、
やや能天気な軽さ(悪い意味ではありません)を強く打ち出していました。
仲のいい家族で大切に育てられた二十歳やそこらの若い女性が、
何もわからずに嫁いできて、一所懸命に働いて、混乱もするし、
不満もあるし、それでも必死でがんばって。

でも、そんな明るい彼女が、夫の死を迎えたときから、違う表情を見せるようになるのです。
声のトーンも変わる。髪型も変わる。メイクも変わりました。
それが彼女が大人になったということでもあったのでしょう。
舞台の始まった最初のころ、少し忍ちゃんの演技が走っている感じがしたのですが、
後半そこに影が差したことで、「喜びと悲しみ」が立体感を持って、
浮き彫りになってきて、そういうことだったのかと、そこでようやく理解したのです。
(素人なので、仕方ないのですが、本当におこがましいことを思ったと思います)

お路の覚悟と、その覚悟を全力でもって受け止めた馬琴。
ふたりの本気が向き合って、ぶつかりあって、昇華した。
最後の30分くらいは、なんだか涙でぼんやりと舞台が曇って見えました。
すごく、すごく、素敵な舞台だったと思います。
4年かかって、やっとこの舞台の本当の良さがわかったのかと。
自分の至らなさに残念さを覚えながらも、気づけて良かったなと思えました。

しかし今回、忍ちゃんの衣装の早変わりがすごかったです。
あの着物、どうやってるんでしょうね? なかなかのみものでした。
そして、和の作品なのですが(前回もそうだったのかもしれませんが)、
実はクラシック音楽が結構使われていて、和の作品とクラシックって、
こんなにあうんだなぁと、感心しながら聞いていました。
全部の楽曲はわからなかったのですが、私が個人的に一番いいなと思ったのは、
前半、まだ話が明るいところで、何気なく使われていた、
フォーレの「夢のあとに」でした。ヴァイオリンの響きが甘く切なくて、
そのあとに訪れる悲しみや苦しみを予感させるようで、聞き入ってしまいました。

あとは、舞台が終わった後で、忍ちゃんがすぐ表に出てきて、
10月にやる一人芝居のチラシを配りに来てくださったのですが…。
(一人でこういうの喜んでると、本当にストーカーみたいに聞こえますが、
けして危ないファンではないのであしからず)
忍ちゃんが私の顔を覚えてくださったらしく、「いつもありがとうございます」と
いってくれましてーーー
(涙)、その場ではあやしい人になってしまうので、
会釈をして出たのですが、とても深く感激した次第です。
まあ図々しく一緒に写真撮ってもらったりとかしているので、
ああ、あの図々しい人かと思われてるだけかもしれませんが、それでもいいです。
加藤さん同様、これからもずっと応援しています!

一応興味のある方のために、「夢のあとに」のリンクも載せておきます。


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コメント

もうすぐ

こんにちは。
初日に行かれたのですね。
うちのほうは、1週間先です。

Anneさんの感想を読むと、加藤忍さんの演技にこの舞台の出来がかかっているように感じます。
それほど重要な役を引き受けられるぐらい、忍さんの演技力が上がったということなのでしょう。
10月に一人芝居もあるのですか。
それも楽しみですね。Anneさんは行かれるのですか?

私は内容を全く知らないで見に行くことになりますが、どんな舞台になるのか、とっても楽しみです。
見たあと、また、こちらにお邪魔させていただきますね。

tomatoさんへ

こんにちは。所沢公演は一週間後なんですね。楽しみですね!

本作品、二人芝居なので、加藤さんと忍ちゃんの役の重要性は、同じくらいなのだと思うのですが、私の今の気持ちがお路の心とすごくシンクロしたのかなと思います。彼女は本当に素敵でしたよ。

10月は下北沢で、加藤さんの演出での一人芝居をされるそうです。時間帯が合うかどうかがまだわからないので、どうするか決まっていないのですが、いけたら行きたいと思っています。

舞台、どうぞ楽しんでいらしてください。tomatoさんの感想も楽しみにしていますね。私もそちらにお邪魔します!

観てきました

こんにちは。
昨日「滝沢家の内乱」を観てきました。
今、私の周りは介護をしている人だらけなので、現実的な感動の仕方をしてしまいました。
今回は笑う場面も少なく、お百と宗伯の怒鳴り声やうめき声に、ああ、お路は大変だなあ、馬琴は辛いだろうなと何度も思いました。
舞台は何を言いたいのか、ちょっとつかめませんでしたが、私自身も経験した介護という問題にばかり頭がいってしまいました。

加藤忍さんの1部と2部の演技の変化が、素晴らしかったですね。
大きな苦労があっても、小さな喜びがいくつかあるだけで、人間って幸せを感じることができるんですよね。
人生ってこういうものなんだよね、と感じさせる舞台でした。

Anneさんのおかげで久しぶりに加藤さんの舞台を観ることができました。
ありがとうございました。
今回は千秋楽ということで舞台の最後に加藤さんの挨拶がありました。
来年6月にまた所沢で公演してくれるそうです。
作品は「Be my baby」だそうです。
Anneさんはご存知の作品でしょうか。

所沢はお客さんの入りが悪くて申し訳なかったです。
それでも加藤さんは「演劇の街、所沢」と言ってくださって、ありがたいです。
来年を楽しみにしたいと思います。

tomatoさんへ

こんにちは。作品、見に行ってこられたとのことで、お疲れさまでした。確かに表には出てこないけれど、声だけでも十二分な存在感を発揮していた高畑さんに風間さん、介護をしていた人にとっては、その日々がよみがえる舞台だったかもしれませんね。たいてい苦しそうな声ばかりでしたし。でも、お路と馬琴がお互いにお互いを支えあえたのは、すごく見ていていいなと思いました。一人だったら、本当につぶれてしまっていたかもしれませんものね。

Be My Babyはやはり2年前に初演をしています。(記事はこれ)
http://comedysh0w.blog67.fc2.com/blog-entry-2616.html
今回の舞台よりはずっと明るくて、ハッピーなオーラが強い作品だと思います。出演陣もかなり豪華でしたが、次回はどうなるでしょうか。

ちなみに、加藤さんの最後のお言葉は、きっとtomatoさんへ向けておっしゃられたのではないかと思います。お返事をいただいたのは一度だけなのですが、あの後も2回ほど加藤さんにはお便りをお送りさせていただきまして、今回の舞台、tomatoさんがお見えになることは伝えてありました。なので、きっと、客席にいるtomatoさんにおっしゃった言葉だと思いますよ! ちょっとうらやましいです^^

ありがとうございました

いえいえ、とんでもない。
私などへのお話ではなく、会場全体に向けてのお話でしたよ。
でも、嬉しかったです。
今日はさっそく加藤さんにお手紙を書いています。
ちょっと長くなりそうですが、お礼の気持ちを伝えられたらなと思います。

また、Anneさんには大変お世話になりました。
あのあともお手紙を書き、私のことに触れてくださったそうで、本当にどうもありがとうございます。
ブログで知り合ったかたが、ここまでしてくださって感激です。
「Be My Baby」はコメディなので今から楽しみです。

ところで、チラシをもらったのですが、「女学生とムッシュ・アンリ」は見に行かれるのですか?
これもまた面白そうですね。
もし行かれたら、また様子を教えてくださいね。
よろしくお願いします。

tomatoさんへ

こんにちは。
いや~、加藤さんのことですから、きっと皆さんにもおっしゃっていたとは思うのですが、tomatoさんのことは必ず頭にあったと思いますよ! きっとお手紙も喜んで読んでくださるのではないでしょうか。最初にお便りしたときは、本当にすぐお返事を下さって、自分のお芝居を楽しみにしてくださっている方に、メッセージをという思いがあふれていらっしゃったので。

なかなかお芝居って、映画よりは高価なので、そんなに簡単に一緒に行こうと誘いにくかったりもするので、こうして長い間、一緒に加藤さんの舞台のお話をできるtomatoさんは大切なお友達です。もう知り合ってから随分長い時間がたつかと思いますが、ありがとうございます。

次回の舞台、生ピアノの演奏があるとのことで、一緒にピアノのレッスンを受けている友人と、先生にも声をかけてみました。一人で行くかもしれないのですが、もしかしたらピアノ仲間と見に行くことになるかもしれません。初演なので、どんな内容かわからないですが、コメディということで楽しみにしています。クリスマス公演ですし、きっと温かい気持ちで家路につけるのではないかなと期待しています!


葉書

Anneさ~ん。
加藤健一さんから葉書が来ました。
お返事をいただけて、とてもうれしいです。
うれしいので葉書は壁に飾っておこうと思います。

ところで、加藤さん、映画に出演されるのですね。
Anneさんはご存知だとは思いますが、松竹120周年記念映画「母と暮らせば」に出るそうで、12月12日に全国公開だそうです。

tomatoさんへ

こんにちは。
加藤さんからお便りをいただけたとのこと、本当によかったですね! きっとお返事をいただけるのではないかと思っていました。こういう温かいお心遣いが本当にうれしいし、素敵な方だなぁと思います。

映画の件、少し前にワイドショーで吉永さんと二宮さんのやり取りだけがフォーカスされていましたが、出演者として、加藤さんが後ろに映っていたので、出演されるのは知っていました。12月は少し先ですが、きっとあっという間ですよね。そのころには次の舞台もあるし、クリスマスコンサートもあるので、加藤さん三昧となりそうです。
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